平成22年度改正により、経営のセーフティネット機能が拡充されました。


●小規模企業共済制度の拡充

 小規模企業共済制度は、小規模企業者が掛金を積み立て、廃業や引退に備える制度です。経営基盤が脆弱で経済環境の変化を受けやすい小規模企業者の廃業・引退後の生活資金や事業再建資金の確保を図るための制度ですが、近年は加入率が減少しています。今般の景気悪化を受け、小規模企業者の将来不安を払拭する目的で加入対象者を拡大する改正が行われました(平成22年4月14日可決・成立、平成23年4月までに施行)。

 これまでの制度で加入できるのは、常時使用する従業員の数が20人以下(商業、サービス業は従業員5人以下)の小規模企業の経営者のみでした。今回の改正により、個人事業主の配偶者や後継者をはじめとする共同経営者(2名まで)を加入対象者として拡充が図られました。具体的には、(1)共同経営者が支払った掛金についてもその全額を所得控除の対象とする、(2)共同経営者が支給を受ける共済金についても退職手当等とみなす、の措置が講じられ、共同経営者にもこれまでの加入者と同様の取扱いが受けられるようになります。


●中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)の拡充

 中小企業倒産防止共済制度は、取引先が倒産した場合に、積み立てた掛金総額の10倍を限度に、無利子・無担保・無保証人で貸付け、中小企業の連鎖倒産を防止するための制度です。改正の背景にあるものは、倒産件数の増加に加え、取引先の倒産によって回収困難となる売掛金債権額が高額化し、連鎖倒産リスクが増大していることがあげられます。

 平成22年7月1日に施行された改正点として、貸付事由に現行の法的整理に加え弁護士や認定司法書士が関与する私的整理が加えられました。また、平成23年10月までに実施される改正点として、貸付限度額を3,200万円から8,000万円に引き上げること、返済期限を5年から10年に延長すること、貸付金を早期に返済した場合には新たに金利相当分の早期償還手当金が支給されること等が加えられます。

 中小規模の企業者は景気の影響をもろに受け、経営環境も厳しい状況が続いていますが、これらのセーフティネット関連の改正が行われたことによって中小事業経営の安定に寄与することが期待されています。

【ニュースアンテナ7月号 税研情報センター】

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