<税制改正>

2009年度税制改正のうち、法人税関係でもっとも早い適用となっているのが、今年2月以後に終了する各事業年度、つまり2月決算法人から適用されている「欠損金の繰戻しによる還付制度」だ。同制度は、前年度に黒字だった法人が、経営悪化などで今年赤字に陥った場合、前年度に納税した法人税の還付を受けることができる制度だ。中小企業が対象であることから関心も高いのだが、注意点も少なくない。

まず、適用対象となる資本金1億円以下の法人かどうかを判定するのは、事業年度終了のときなので、事業年度途中の増資には気をつける必要がある。次に制度の適用を受けるには、還付所得事業年度から欠損事業年度まで、連続して青色申告書である確定申告書を提出しており、欠損事業年度の確定申告書の提出期限までに確定申告書とともに還付請求書を提出しなければならない。

還付請求書の記入にあたっては、還付請求金額の計算の基となる還付所得事業年度の法人税額からは、延滞税や加算税などの附帯税の額は除外される。一方、還付請求書を提出した場合には、税務署長は、その請求の基礎となった欠損金額その他必要な事項について調査することが税法で規定されている。その調査が署内の精査だけで済むかどうかは、当然、その還付請求書の内容によるだろう。

なお、繰戻し還付における当期の還付金額は、「前期法人税額×当期欠損金額/前期所得金額」で計算した金額となる。例えば、前期に500万円の黒字で110万円の法人税を納付(税率22%の場合)した法人が、今期200万円の赤字だったケースでは、前期の黒字と今期の赤字を相殺し、「110万円×200万円/500万円」で計算した44万円が前期に納税した法人税から還付される。

                                提供:ミロク.TVS記事より(株式会社タックス・コム)